目的からブレずにオウンドメディアを運営するためには、KPIの設定が欠かせません。今やるべきことを明確にしないと、効果を実感できないまま時間だけが過ぎていきます。
ただし、KPIの設定を誤り、方向性を見失っているケースがあるのも事実。フェーズに合わせて定期的に見直すことが大切です。
この記事では、KPIを適切に設定する方法やフェーズごとの設定例を解説します。
100社以上のオウンドメディアに携わってきた弊社の経験をもとにまとめているので、戦略的な運営で効果を実感するためにお役立てください。
沖ケイタ
- 株式会社Webライタープロ取締役
- 100名の精鋭Webライター集団「Webライタープロ」運営
- 納品記事数20,000記事、納品文字数10,000,000文字越え
- お取引業様100社越え(上場企業含む)
オウンドメディアにおけるKPIの基礎知識
1. オウンドメディアの定義
2. KPIの定義
3. KPIとKGIの違い
4. KPIの重要性
1. オウンドメディアの定義
オウンドメディア(Owned Media)は、企業が自社で所有する媒体(メディア)のことです。
- Owned(所有)
- Media(媒体)
本来の定義では、SNSやメルマガ、カタログなど、自社で管理するさまざまな媒体がオウンドメディアに該当します。
しかし、一般的には企業が情報発信を行うWebサイトのことを意味して呼ばれることが増えました。この記事でも、自社が所有するWebサイトの運営を想定して解説します。
2. KPIの定義
KPIは「Key Performance Indicator」の略称であり、日本語で「重要業績評価指標」という意味があります。最終的な目標を達成するための中間目標と考えるとわかりやすいでしょう。
各プロセスの達成度合いを確認し、評価するための指標です。これにより、今やるべき取り組みが明確になります。
3. KPIとKGIの違い
KPIの設定時に一緒に使われる言葉に「KGI」があります。
KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語で「重要目標達成指標」という意味を持つ言葉です。オウンドメディアを運営する最終目標(ゴール)として覚えておきましょう。
つまり、KGI(最終目標)を達成するために、KPI(中間目標)をクリアしていくという考え方になります。
例えばKGIに売上を月100万円増やすことを掲げるなら、それを達成するために必要な取り組み(お問い合わせ○件を目指す、「○○」のキーワードで上位獲得など)がKPIにあたります。
4. KPIの重要性
大前提として、オウンドメディアは短期間で効果を得られるものではありません。
半年以内に少しずつ効果を実感できればかなり良い状態ですが、1年以上経ってもまったく効果を得られないケースもあります。
長期的な取り組みとして考えなければならないからこそ、中間目標ともいえるKPIを設定し、今やるべきことを明確にすることが重要です。
現状の数値を把握することで、戦略の立て直しや改善すべき部分が見えてきます。定期的な見直しを行いながらPDCAを回しましょう。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
また、KPIが明確になっていれば、オウンドメディアに携わる人が共通の目的を持って取り組めるのもメリットです。成功を促すために重要な取り組みといえます。
オウンドメディアにおけるKPIの設定例
1. 記事数
2. 検索順位
3. 自然検索の流入数
4. CV数(コンバージョン数)
5. PV数(ページビュー数)
6. UU数(ユニークユーザー数)
7. SS数(セッション数)
8. 滞在時間
9. SNSでのシェア数
1. 記事数
1ヶ月間で公開した記事数をKPIに設定することで、コンスタントに記事を増やせます。
特にオウンドメディアを立ち上げたばかりの頃は、記事数が少ない状態です。継続的に記事を公開する体制を整えるための行動目標として設定するとよいでしょう。
記事数が増えることで、オウンドメディアの信頼性や専門性が高まりやすくなります。
2. 検索順位
上位表示を獲得したいキーワードが明確な場合は、検索順位をKPIにすることをおすすめします。
特にCV(コンバージョン)に近いキーワードは、積極的に狙いたい部分です。検索順位の1位と2位では、クリック率に2倍近くの差があります。
3. 自然検索の流入数
自然検索(オーガニック検索)は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、広告以外の純粋な検索結果を指します。そこからWebサイトに流入してきた数です。
認知拡大を目的とするなど、キーワード検索からの訪問者を増やすことを目的とするなら、自然検索の流入数がKPIになります。
4. CV数(コンバージョン数)
CV(コンバージョン)は、ユーザーがWebサイト内で目的としている行動を起こしてくれた状態を指します。
オウンドメディアでよく見られるのは、以下のような訴求につなげるケースです。
- 商品(サービス)の購入
- 資料請求
- 資料ダウンロード
- 公式LINEへの登録
- 会員登録
- お問い合わせ
オウンドメディアの運営において、CV数はKGIを達成するための重要な指標といえるでしょう。
5. PV数(ページビュー数)
PV数(ページビュー数)は、Webサイトが閲覧された回数です。ただし、同じ人がアクセスした場合もカウントされてしまうため、純粋な訪問者の数ではありません。
メディアが順調に成長しているか判断するための指標として、KPIの1つに設定するのもよいでしょう。
6. UU数(ユニークユーザー数)
UU数(ユニークユーザー数)は、Webサイトを訪れた人数です。PV数とは違い、同じ人が訪問した場合でも「1人」としてカウントされます。
UU数の増加は、見込み客の獲得や認知拡大につながる部分です。KPIに設定する企業が多くあります。
7. SS数(セッション数)
SS数(セッション数)は、ユーザーがWebサイトを訪問した回数です。訪問してから離脱するまでを1カウントとして数えます。
ユーザーの流入経路(自然検索やSNSなど)を確認するときにも役立つ指標です。PV数やUU数と同様に、KPIとして設定されることが多くあります。
8. 滞在時間
滞在時間は、Webサイトに訪れていたユーザーが、どのくらい滞在していたのかという時間を表す指標です。コンテンツの改善に役立ちます。
ただし、滞在時間の長さだけで「良い」「悪い」を判断するのは危険です。
記事の滞在時間が短くても、CV数が高ければ「成功」と判断できるでしょう。極端に滞在時間が短くて明らかに読まれていないような場合は、内容の改善が必要です。
滞在時間だけで判断せず、記事の役割を果たしているかで判断する必要があります。
9. SNSでのシェア数
SNSと連携してオウンドメディアに取り組む場合は、SNSでのシェア数をKPIに設定するのも1つの方法です。
拡散されて多くの人にシェアされれば、それだけ価値の高いコンテンツを提供できたという証になります。
オウンドメディア内で企画記事を作り、SNSの投稿と結び付けるのもよいでしょう。やり方次第でさまざまな応用ができます。
ただし、拡散されるかどうかはコントロールできるものではありません。また、炎上リスクもともなうため、イメージダウンにつながらないように注意することが重要です。
オウンドメディアでKPIを設定する3ステップ
STEP1. 運用目的とKGIを明確にする
STEP2. KPIツリーを作成する
STEP3. 正しく設定できたか確認する
STEP1. 運用目的とKGIを明確にする
まずは、オウンドメディアの運用目的とKGI(最終目標)を明確にして、方向性を定めましょう。「なぜオウンドメディアを始めようと思ったのか」を振り返ってみてください。
例えば、見込み客の獲得を目的とする場合は「資料請求を月300件獲得する」といったKGIを設定することができます。そこから逆算して、KPIを設定していくという流れです。
時々「他社が始めたから…」という理由でスタートし、弊社に記事制作のご相談をいただくことがあります。しかし、KGIがはっきりしていないと、どんなコンテンツを入れていくべきなのかが判断できません。
無駄な取り組みにならないように、最初にきちんと決めておきましょう。
STEP2. KPIツリーを作成する
KPIを設定する際は、KPIツリーを作成することをおすすめします。
KPIツリーは「ロジックツリー」とも呼ばれ、KPIを達成するために必要な要素を分解し、ツリーのように可視化した図のことです。取り組むべきことが明確になり、具体的な施策を実行しやすくなります。
KGIから逆算し、必要な取り組みを考えてみましょう。
例えば「STEP1」で設定したKGI「資料請求を月300件獲得する」という目的を達成するためには、Webサイトの訪問者数(UU数)や申し込み率(CVR)がKPIとして挙げられます。
そこからさらに分解し、必要な施策を洗い出していく作業です。
誰もがわかる具体的な数字で、KPIとなる目標値を設定することが大切です。認識の相違が起きにくくなります。
STEP3. 正しく設定できたか確認する
KPIツリーを作成したら、設定した内容が妥当であるかを確認します。現実的な数字ではない目標や、KGIとの関連性が薄ければ意味がないからです。
チェックの際は「SMARTの法則」に沿って行うことをおすすめします。
- Specific(具体性)
- Measurable(計測可能性)
- Achievable(達成可能性)
- Relevant(関連性)
- Time-bounded(期限)
社内で共有することを考慮し、わかりやすいKPIで、努力すれば達成できる基準にしましょう。中途半端な状態にならないように、期限を定めることも大切です。
【フェーズ別】オウンドメディアのKPI設定例
オウンドメディアの運営は、効果が出るまでに時間がかかる取り組みです。フェーズによってKPIを変えていかなければ、何をやったらよいか判断できずに失敗する可能性が高まるでしょう。
ここでは4つのフェーズに分けてKPIの設定例を紹介します。
1. 立ち上げ期
2. コンテンツ制作初期
3. コンテンツ制作~改善期
4. メディア活用期
1. 立ち上げ期
オウンドメディアを立ち上げてから半年くらいまでは、コンテンツを増やすことに注力しましょう。記事数をKPIに設定し、運営体制を整えながら土台を作ることが大切です。
KGIの設定やペルソナの設定、メディアのコンセプト決めなどを行う前に立ち上げてしまった場合は、コンテンツを入れる前に必ず事前準備を行いましょう。
事前準備として必要なことは「オウンドメディアの作り方」を解説した記事で詳しくまとめているのでご覧ください。
この時期の失敗例として多いのが、最初からCV数をKPIに設定すること。
当たり前ですが、コンテンツが少ない状態ではほとんどデータを計測できません。その結果、なかなか効果を感じられず、早い段階で更新を中断してしまうケースが多くあります。
まずは、継続的にオウンドメディアを運営できる体制の構築に努めましょう。
もしリソースがなくて定期的にコンテンツを増やすことが難しい場合は、外部への依頼を検討することをおすすめします。
記事制作を得意とする弊社でもご相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
2. コンテンツ制作初期
オウンドメディアの運営を開始して、約半年から1年頃のフェーズです。
まだ記事数が充実していない場合は、引き続き記事数をKPIに設定してコンテンツを充実させましょう。そうすることで、ユーザーにも検索エンジンにも、企業の信頼性や専門性が伝わりやすくなります。
ある程度記事数が増えてきたら、PV数やUU数などもKPIに設定するのがおすすめです。オウンドメディアにどのくらいの流入数があるのかを確認しましょう。
早い段階で効果を実感し始めた場合は、そのまま次のフェーズに進みましょう。
3. コンテンツ制作~改善期
約1年~1年半頃で、コンテンツ量が充実してくるフェーズです。検索順位がつく記事も増えてくるでしょう。
オウンドメディアへの流入が増えてきたら、目的に合わせて以下のような項目をKPIに設定してみてください。
- PV数
- UU数
- SS数
- 検索順位
また、今まで増やしてきたコンテンツの見直しも必要です。
滞在時間やスクロール率、回遊率などもKPIに設定し、改善に努めましょう。
4. メディア活用期
オウンドメディアの運営から約1年半が過ぎると、コンテンツがより充実し、集客数の増加が期待できます。
商品やサービスの購入、資料請求、お問い合わせなど、CV数をKPIに設定しましょう。
さまざまなデータを見ながら分析を行い、CV数の増加につながる取り組みを行います。
例えば、検索上位で一定の流入があるにもかかわらず、まったくCVにつながらないのであれば、CTA(行動喚起)や記事の内容に問題があるのかもしれません。
強引な訴求になっていないか、そもそも記事の内容が検索意図にマッチしているのかなど、さまざまな見直しが必要です。
検索順位もKPIに設定しつつ、CVへの導線を整えましょう。
オウンドメディアのKPI達成を目指して意識すべき4つのポイント
1. 現状の取り組みが最適解か考える
2. PV数ばかりを追わない
3. コンテンツの役割を理解する
4. 高品質なコンテンツを継続して提供する
1. 現状の取り組みが最適解か考える
オウンドメディアは、検索上位を目的としたSEO記事だけを更新し続ければ集客できるわけではありません。フェーズごとにメディアの状況を見直し、KPIの達成につながるコンテンツを検討しましょう。
例えば商品やサービスの購入につなげたいのであれば、導入事例や活用事例があるとより興味を持ってもらえます。商品ページを作成し、資料をダウンロードできるようにしておくのもよいでしょう。
オウンドメディアで成功している企業のほとんどは、ユーザーが必要な情報を探しやすくするための工夫をしています。
また、オウンドメディアで蓄積したコンテンツは、他の媒体で再利用することが可能です。
- SNSで要点をまとめて公開する
- メルマガの配信に活用する
- 社員教育に利用する
オウンドメディアが軌道に乗ってきたら、新たな集客チャネルを立ち上げて情報発信をするのもよいでしょう。
特に競合が多い分野は、差別化を図るほど業界でのポジションを確立しやすくなります。
2. PV数ばかりを追わない
オウンドメディアの運営において、PV数をKPIに設定するのはよくあることです。
しかし、CV数を増やしたい企業がPV数ばかりにこだわるのはおすすめしません。PV数が増えたからといって、CV数の増加につながるとは限らないからです。
弊社が大事にしているのは、狙ったキーワードで検索上位を獲得すること。多少検索ボリュームが少なくても、CVが取れるキーワードを積極的に狙います。
中途半端な順位の記事を量産してPV数を増やすのはやめましょう。
3. コンテンツの役割を理解する
同じSEO記事でも、キーワードや内容によって役割が異なります。データを見て分析するときは、それぞれの役割を果たしているかという基準で確認することが大切です。
例えば「作り方」や「始め方」など、じっくり読み込んでもらうことを目的とした記事は、滞在時間が長いほうがユーザーの役に立っていると判断できるでしょう。
しかし、ユーザーが必要な情報をサクッと調べたいときに検索するようなキーワードの場合は、滞在時間が短くなる傾向があります。悩みを解決して、すぐに離脱してしまうことが考えられるからです。
滞在時間が短くてもユーザーの満足度が高いのであれば、そのコンテンツは十分役割を果たしているといえます。
明らかに数値がおかしい場合を除いて、滞在時間が短いからダメという安易な判断はできません。
4. 高品質なコンテンツを継続して提供する
オウンドメディアに掲載するコンテンツの品質は、企業のイメージを左右する要素です。継続的に高品質なコンテンツを提供できるように心がけましょう。
自社だからこそ発信できる情報を積極的に伝えていくことで、企業への信頼性が高まります。「○○の情報ならこのサイトを見よう」と思ってもらえるようになれば、PV数やCV数の増加につながり、KPIの達成に貢献するでしょう。
また、検索上位を獲得するうえでも、高品質なコンテンツを公開することが必須です。
自社だけでの取り組みが難しい場合は、外部への依頼を検討することをおすすめします。自社の事業内容を把握している専門家を探して、専門性の高い記事を制作してもらうのも1つの方法です。
そして、誤った情報や古い情報を公開することがないように、定期的な見直しを行いましょう。
なお弊社では、SEO記事を累計20,000記事以上制作した実績があります。キーワード選定やSEOコンサルもお任せください。
厳しい研修をクリアしたライターが記事の制作にあたります。ディレクターがすべてチェックするため、記事の品質を担保できるのも強みです。
オウンドメディアのコンテンツ制作でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
弊社はSEOが大好物です。
株式会社Webライタープロは、とにかく記事の質にこだわり抜いたコンテンツSEOのど真ん中を走り続けています。
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