トンマナ(トーン&マナー)とは、コンテンツに一貫性や統一感を持たせるためのルールです。サイトデザインや表記などに一定のルールを決めることで、コンテンツ全体の質を保てます。
この記事では、トンマナの意味をわかりやすく解説するとともに、Webライティングにおける決め方や合わせ方について詳しくまとめました。
- トンマナの意味やルールがよくわからないライター
- トンマナの決め方に悩んでいるメディア管理者
上記のどちらに該当する人でも、トンマナをマスターできるように詳しく解説しています。
僕自身も、Webライターに対して「トンマナを合わせてください」と指摘することがよくあります。トンマナの重要性を知り、言われなくても配慮できるようになりましょう!
沖ケイタ
- 株式会社沖プロ代表
- 株式会社Webライタープロ取締役
- 1700人以上が受講するWebライター講座「Writing Hacks」メイン講師
- 100名の精鋭Webライター集団「Webライタープロ」運営
- 執筆に携わった記事は数千記事を超える
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トンマナとは?意味をわかりやすく解説
トンマナとは「トーン&マナー」の略語です。それぞれ以下を意味し、デザインやスタイル、表記などに一貫性や統一感を持たせるルール全般を指します。
- トーン:色調、音調
- マナー:様式、作法
もとは広告業界を中心に使われていた専門用語でしたが、現在ではビジネスの世界で広く使われるようになりました。
決められたトンマナに沿ったデザインやコンテンツを作成することを「トンマナを合わせる」とも言います。
Webライティングにおいて「トンマナを合わせてください」と言われた場合は、メディアの雰囲気や記事の書き方など、この記事で紹介する項目を意識しましょう。
Webライティングにおけるトンマナを中心に解説するので、まずはトンマナを合わせるべき理由を知り、重要性を確認するところから始めてみてください。
Webライティングの文章でトンマナを合わせる5つの理由
1. 文章を読みやすくするため
2. ターゲットを明確にするため
3. 記事のテイストを合わせるため
4. 記事の品質を保つため
5. できる限り修正点を減らすため
1. 文章を読みやすくするため
トンマナが整っていて統一感のある記事は、文章にまとまりがあり、読者の頭にスムーズに入ります。
逆に語尾や使用する言葉などに統一感のない文章は、読者に違和感を与える要因です。「読みにくい」「意味がわからない」と感じれば、そのまま読むのをやめてしまうでしょう。
Webライティングでは、短い文章で的確に内容を伝える必要があるため、文章の読みやすさが重要です。
文章に統一感があれば読み手のストレスを軽減でき、記事の滞在時間を増やすことにつながります。長く記事を読んでもらうためにも、トンマナを意識して記事制作を行いましょう。
2. ターゲットを明確にするため
メディアの雰囲気に合わせてのトンマナを設定しておけば、ターゲットに合わせた表現が可能です。
例えば、以下のようにトンマナを合わせることでターゲット層に伝わりやすくなり、関心を惹きつけられます。
- 法律や転職ジャンル:フォーマルな文章
- エンタメやゲームジャンル:カジュアルな文章
メディアに統一感を持たせることは、ブランディングを行ううえでも重要なポイントです。
3. 記事のテイストを合わせるため
メディアの記事制作に携わるライターが複数人いる場合、記事全体のテイストを合わせるためにもトンマナが欠かせません。
トンマナが定まっていれば、異なるライターが制作した記事でも統一感が出せます。読者が複数の記事を読む場合、統一感があることで安心できるのがメリットです。
逆にトンマナが合っていないと、読者が別の記事を読んだときに違和感を覚えるでしょう。メディアのイメージも定まりません。
そうならないためにも、文章の書き方やレイアウト、画像のルールなどを決めておきましょう。
4. 記事の品質を保つため
トンマナを合わせることは、記事を一定の品質に保つうえでも重要です。
複数のライターが記事制作に携わる場合は、スキルや経験による書き方の違いが懸念されます。
表記ルールや使用してはいけない表現など、最低限の守るべきルールを決めておくことで、一定の品質を担保しやすくなるのがメリットです。
オウンドメディアの担当者や発注者は、合わせるべきトンマナを記したマニュアルやレギュレーション用意することをおすすめします。
執筆を担当するライターは、マニュアルやレギュレーションを100%守るべきルールとして意識してください。
5. できる限り修正点を減らすため
トンマナを合わせれば記事に一貫性が生まれます。テイストや品質が整うことで、チェックを行う担当者の負担の軽減が可能です。
その分、より多くの記事をチェックしたり、他の業務に時間をかけたりできます。
メディア管理者と執筆者の双方で認識を合わせられるように、管理体制を構築しましょう。
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【項目別】Webライティングにおけるトンマナの決め方と例
1. メディアの雰囲気
2. 文末表現(文体)
3. 表記ルール
4. レイアウト
5. 使用を避けるべき表現
6. おおよその文字数
7. 画像のルール
8. SEOへの意識
9. 使用ツール
1. メディアの雰囲気
トンマナは、メディアや運営企業のイメージに直結します。メディアに訪れる読者層をイメージしつつ、どのような雰囲気で統一するのかを決めましょう。
ブランディングに大きく関わる部分なので、ユーザーにどう見られたいかという運営者側の視点も大切にしてください。
例えば、金融系のメディアでは専門用語が多くなる傾向があります。運営企業の専門性や権威性を示すうえでも、きっちりとした文章が望ましいでしょう。
フォーマルな雰囲気を漂わせることで、読者に安心感を与えられます。
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対してカジュアル系のアパレルメディアの場合は、親しみやすい言葉遣いを取り入れてみるのもおすすめです。
口語や記号を積極的に使用すれば、フレンドリーな雰囲気を演出できます。
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どのような雰囲気のメディアにしたいのかを決めたうえで、それに適した言葉や書き方を決めましょう。
2. 文末表現(文体)
文末表現とは、文章の最後(文末)に使われる言い表わし方を指します。
Webライティングで使われる主な文末表現は以下の2種類です。
- です・ます調(敬体)
→さまざまなメディアで活用される - だ・である調(常体)
→SNSなカジュアルなブログでよく利用される
Webライティングで最も使われるのは「です・ます調」です。このメディアも「です・ます調」で執筆するように統一しています。
3. 表記ルール
表記ルールでは、以下のような点を決めておくと安心です。1つの言葉に対して複数の表記が存在する場合は、表記を統一しておきましょう。
- 漢字のひらく、閉じる
- 使用可能な言葉
- 英数字や記号の半角/全角
- !や?等の使用の可否
- 環境依存文字の使用の可否
- カッコの使い分け方
- 日時の表記ルール(2024年○月、2024年現在 など)
どの表記がOKなのか、一目でわかるようにまとめておくのがおすすめです。
OK | NG |
---|---|
123456(半角) | 12345(全角) |
()!?+-(全角) | ()!?+-(半角) |
1ヶ月 | 1ヵ月、1か月 |
おすすめ | お勧め、オススメ |
さまざま | 様々 |
できる | 出来る |
なお、Webライティングでは「漢字:ひらがな:カタカナ」の割合は「2:7:1」が理想とされています。漢字ばかりで読みにくい記事にならないようにすることがポイントです。
また、記事内で表記が統一されていないと「表記ゆれ」が生じます。表記ゆれがあると文章が読みにくくなったり、読者に違和感を与えたりする恐れがあるため注意が必要です。
例えば、同じ記事内で以下の表記が混ざっていたら、何となく違和感がありませんか?
- スマホ/スマートフォン/スマートホン
- 1ヶ月/1ヵ月/1か月
- Web/WEB/web
こういった違和感をなくすためにも、表記ルールを決めておくことが欠かせません。
4. レイアウト
レイアウトは、メディアの印象を決定づける要素です。Web上の記事は文章を隅々まで読まれるわけではないため、読者が離脱しないように読みやすいレイアウトを意識しましょう。
誰が記事の入稿を行っても対応できるように、WordPress(ワードプレス)などのCMSで使用するブロックもまとめておくと安心です。
レイアウトに該当する以下の要素をルール化しておくと、トンマナがさらに整います。
- 文字装飾のルール
- 余白のルール
- 使用可能な枠
- テーブルの作り方
- リンクの張り方
- 出典の記述方法
- 引用の記述方法
例えば当メディアでは、1番強調したい文章は赤太文字、次に強調したい文章には黄色マーカー&黒太文字を用いることをルール化しています。
また、WordPressへの入稿を行う際に使用する枠やキャプションブロックも、使うデザインを指定しています。
誰が対応しても同じようにできる状態にしておくことは、長期的なメディア運営を行ううえでも重要です。
ルールによってメディアの印象が大きく異なるため、どのような雰囲気にしたいのかを考えてルール化してみてください。
5. 使用を避けるべき表現
使用を避けるべき表現がある場合は、ルール化して周知しておくことが重要です。
具体的な例として、メディアによっては以下のような表現を避ける場合があります。
- 体言止め
- 曖昧な表現
- ~かもしれません
- ~だと思います
- 差別表現
- 誇大表現
また、Webライティングでは、基本的に同じ語尾が3回以上続かないようにするのが基本です。同じ語尾が連続するとリズムが単調になり、読者に稚拙な印象を与えてしまいます。
多くのメディアで「同じ語尾を3回以上続けない」というルールを定めているので、これからトンマナを決める場合はルール化しておくとよいでしょう。(メディアによっては「2回連続NG」の場合もあり)
他にも、YMYLに該当するジャンルには明確なNGワードがある場合が多いので注意してください。
YMYLとは「Your Money or Your Life」の略語で、お金や医療、健康など、人生に大きく影響を与えるコンテンツ群を指します。
例えば、以下のジャンルで特定の表現を用いてしまうと、薬機法や景品表示法に抵触する危険性があるため確認が必要です。
- 医療ジャンル
→「効果がある」「治る」など治療効果を断言するワード - 健康ジャンル
→「飲めば痩せる」「脂肪燃焼」などダイエット効果を保証するワード - 金融ジャンル
→「元本保証」「ノーリスク」のような利益を保証するワード
これらのNGワードは、ライターが知らずに記述してしまう可能性があります。
YMYLに関わるメディアを運営する際は、法律を意識したルールをまとめ、使用を避けるように伝えておくことが大切です。
6. おおよその文字数
大前提として、記事の最適な文字数はジャンルやキーワードによって異なります。1記事あたりの文字数が多いからといって、SEOで上位表示しやすくなるわけではありません。
しかし、可能な範囲で文字数を定めておくと、ライターが執筆する際の目安になります。
ジャンルや競合サイトなどの要素をもとに「4000~5000文字」といった目安を定め、キーワードによって調整できる状態にしておくとよいでしょう。
また、読者がスムーズに記事を読むためには、一文あたりの文字数を60文字以内に収めるのがポイントです。見出しによって文章量に大きな差が生じないのように、ある程度定めておくケースもあります。
他にも、以下のような部分の文字数の目安を決めておくと、記事間でのズレを回避できるのでおすすめです。
- タイトル
- リード文
- ディスクリプション
7. 画像のルール
Webライティングでは、画像も視覚的に重要な要素となります。
文章やメディアの雰囲気に適していないと違和感を与えるため、トンマナを合わせられるようにルールを決めておきましょう。
- 画像形式(jpg、png など)
- 画像サイズ(横800px以上 など)
- 画像の内容(日本人が写った画像のみを使用 など)
→メディアによっては、フリー素材の使用が禁止されている場合もあり
例えば、当メディアでは基本的にフリー素材の画像は使用していません。見出しの下はテンプレートを用いてライターが作った画像を使用し、図解はデザイナーに依頼しています。
画像のルールを明記すれば、記事に統一感が出るだけでなく、無断転載による著作権侵害のリスクも抑えられるのがメリットです。
法的リスクを避けるうえでも、画像のルールはメディア管理者側で決めておきましょう。
8. SEOへの意識
メディア管理者が重視しているSEOのポイントは、ライターがわかるように伝えておくと安心です。
SEOをどの程度意識するかは、メディアの方針や管理者の考え方によって大きく異なります。既存の文章を見ただけで、ライターが判断するのは少し難しいでしょう。
- 見出しへのキーワードの入れ方
- 内部リンクの入れ方
- 外部リンクを入れる際のルール
例えば、キーワードを見出しに詰め込んで欲しい人もいれば、文脈の自然さを優先したい人もいます。
内部リンクや外部リンクの設定方法も、メディアによって異なる部分です。
トンマナを合わせるうえで大事なポイントですが、あまり意識できていないライターが多くいます。わかりやすいように見本を用意しておくとよいでしょう。
9. 使用ツール
記事制作に使用するツールを統一すれば、メディアに一貫性を持たせるだけでなく、メディア管理者側の工数削減にもつながります。
- 執筆ツール
- Googleドキュメント
- Word
- リサーチツール
- ラッコキーワード
- Ubersuggest
- 文章校正ツール
- Enno.jp
- 文賢
- 画像選定・作成ツール
- Canva
- O-DAN
特に、執筆ツールの統一は必須です。各ライターが同じ執筆ツールで記事を提出すれば、チェック時の負担を軽減できます。
同時に、ツールを使って記事制作を行う手順までまとめておきましょう。誰もが同じ流れでリサーチや記事のチェックが行えるため、1つの記事に複数人が携わったときでも考え方がブレません。
文章のトンマナを合わせるために意識すべき3つの注意点
1. メディアの目的やコンセプトを明確にする
2. マニュアルやレギュレーションを作る
3. フィードバックでズレを修正する
1. メディアの目的やコンセプトを明確にする
Webライティングにおけるトンマナを決める際は、まず、メディアを運営する目的やコンセプトを明確にするところから始めましょう。想定読者をイメージし、文章の書き方や装飾ルールなどを決めることが大切です。
オウンドメディアの場合は、企業のイメージを損なわないように注意してください。
例えば、カジュアル系のアパレルメディアの場合は以下のように定まります。
目的:商品情報の提供と購入への誘導
コンセプト:気軽なファッションで自分らしさを楽しもう
想定読者:10~20代の若年層
訴求する商品:季節のアイテムや着回しやすい高コスパなアイテム
このようなメディアでは、口語を交えた親しみやすい文章を基調としたトンマナを設定することで、若い世代へ効果的な訴求が狙えます。
トンマナを合わせるには、読者層を明確にしてメディアの方針を定めることから始めましょう。ブランディングにも関わる大切な部分です。
2. マニュアルやレギュレーションを作る
メディアに携わる担当者やライター全員が同じ基準で記事を制作するためにも、統一されたマニュアルやレギュレーションを作成することが重要です。
一度作ってそのままにするのではなく、気になる点が出てきたら適宜調整を行ってください。文章だけで伝えるのではなく、スクショや参考記事などを入れてわかりやすくまとめることをおすすめします。
なお、執筆を担当するライターは、決められたルールを100%守るのが基本です。
マニュアルに載っていない部分は既存記事を参考にしましょう。既存記事をテンプレートとして意識することで、メディアのトンマナに合わせた記事を制作できます。
3. フィードバックでズレを修正する
ライターに執筆してもらった記事のトンマナにズレがある場合は、フィードバックを行いズレを修正します。
時間のかかる作業ですが、改善点を伝えていくことはとても重要です。
正直なところ、どんなに詳しいマニュアルやレギュレーションを作り込んでも、最初から100%守れるライターはあまりいません。慣れてくると、レギュレーションをほとんど読まずに提出してくる人もいます。
「自分で直せばいいや」と判断せずに、間違っている部分は毎回きちんと伝えるようにしてください。
そして、記事制作を行うライター側は、フィードバックを次回以降の記事に必ず活かしましょう。もらったフィードバックをGoogleドキュメントなどにまとめ、マニュアル化するのがおすすめです。